こんにちは、らちょです。今回は大学数学における微分積分についてのお話です。
理系の学部に入った皆さんはほぼ微分積分を履修すると思います。最初は高校の知識の延長でどうにかなりますが、後半になると難易度がぐっと上がり、講義をまじめに聞かないと単位が取れなくなってしまいます。
今回は難易度の高い後半部分で習う2変数関数の極値について解説していこうかなと思います。単なる
公式の紹介だけでなく、なぜ公式が導かれるのか理由を交えながら説明するので、暗記に頼らず根本的な理解をしていきましょう!!
2変数関数の極点と極値の定義
まずは、2変数関数の極値の定義とそのイメージです。高校生までで習った極値の問題は変数が一つで
あったので、グラフで考えるのが簡単で極値のイメージも掴みやすかったと思います。
それが2変数関数つまり空間においての極値となると途端にグラフで考えるのが難しくなってしまうんですよね。そこで、皆さんが分かりやすいように2変数関数の極値について簡単に図示してみました!
この図を見ると、極値を取る場所、すなわち極点は極点周りの点と比べて値が大きくなっている場所や小さくなっている場所を指します。
ちなみに鞍点というのは極値とは異なるので、注意してください!後でもう少し詳しく説明します。
上図から2変数関数の極点と極値の定義は以下のように定められます。
この定義に関しては、1変数関数であるy=f(x)の関数の極値の定義と似ているのでイメージはしやすいかと思います。
極値の決定
ここまでで2変数関数の極値のイメージが掴めたと思います。次は実際にある2変数関数が与えられたとき、図示しなくとも計算によって関数の極値を求めることができるのかどうか疑問に感じますよね。
今までも「関数の極値を求めよ。」という問題があったら皆さんはまず微分を考えましたよね。2変数関数も一緒で、極値を求める際には微分を行う必要があるのです。ただし、2変数関数については変数が二つあるので、それぞれの変数に対する偏微分を行っていきます。
極値の決定に関する公式は以下のようになります。
一階微分が0になるときを考えるのは、変数が1つの関数の極値を求めるのも一緒ですが、二階微分を考えている部分が異なりますよね?
ちなみにy=f(x)に関して、f'(a)=0が成り立っても極値にならないケースがあったように、2変数関数でもそのような座標が存在します。このような点を先ほども述べましたが、鞍点というのです。
この公式を覚えろと言われても、符号が正か負かどっち間違えそうだし、何をやっているかイメージがつきにくいので、覚えるのが結構大変だし、テストで出たら不安になると思います。
なので、次はこの公式について掘り下げていき、どうやって公式が生まれたのか解説していきます。
極値の決定に関する公式の解説
さきほどの公式を見て、みなさんは「何かに似ているなあ」と思いませんでしたか?2次方程式の判別式を思い出すと、判別式の符号によって場合分けされる感じが同じですよね。この判別式に似てるというイメージが重要だということを頭に入れておいてください。
前述の公式を説明するためには、2変数関数のテイラー展開の知識が必要になってきます。2変数関数のテイラー展開の公式の説明は長くなってしまうので、今回は省きますが公式は以下の通りです。
今回、f(a+h,b+k)=f(x,y)とし、二次の項まで展開すると、
となります。 fx(a,b)=fy(a,b)=0 、fxx(a,b)=A、fxy(a,b)=B、fyy(a,b)=Cを代入して整理すると、
ここで、f(x,y)-f(a,b)=Y、(h/k)=Xとおくと、
が得られます。
Yは極値の候補と、極値の近辺の座標の大小関係を表しているので、Y=g(X)の概形を考えることで極値の決定に関する公式を説明することができます。 Y=g(X)は今回2次関数なので、概形を求める際に
判別式の考え方を利用します。これで、さきほどの公式が判別式に近くなるのはイメージがついたかと思います!
では、実際に各条件で2次関数のグラフがどうなるか考えていきましょう。
ここまで来れば、公式のイメージが掴めたと思いますし、どのような考え方から生み出されたのかが理解できたかと思います!
まとめ
最後にまとめです。
- 2変数関数の極値のイメージを持とう!
- fx(a,b)=fy(a,b)=0が成り立っても、極値になるとは限らない。
- 公式は2変数関数のテイラー展開を使って証明できる。
- 2次関数の概形を考えるため、2次方程式の判別式の形と似た式になる!
今回のお話は以上です。2変数関数の極値の決定公式はどのようにして考えられているかを理解してしまえば、覚えるべきことはとても少なくなり、符号についても迷うことはなくなると思います。
公式を覚えることも大事ですが、その公式の意味を理解することで、勉強の効率は格段に上がると思うので、がんばっていきましょう!
らちょでした!それではまた!
微分積分のおすすめの参考書のリンクを貼っておきます。
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他にも大学の勉強に関する記事を載せてありますので、良ければ日々の勉強の参考にしてください。