こんにちは、ぽたです。今回は、線形代数を学んでやっと気づけた本当の固有値、固有ベクトルの意味と使い方について書いていきます。
固有値、固有ベクトルとは
固有値とは、
が成り立つ、λのことになります。また、Xはベクトルで、これを固有ベクトルというのですが、また後で解説します。
まだ、何が何やらわからない方がすべてだと思うので、順番に説明します。
Aとは[正方行列]
まずAですが、Aはn×n行列です。今回は簡単にするためにn=3として考えてみましょう。そうするとAは3×3行列となります。
xとは[固有ベクトル]
x はベクトルになります。Aと掛算することができるので、行がn、列が1の行列とみてもいいでしょう。今回はAを3×3行列とみているので、3×1行列とみることができます。
また、上の式が成り立つxを固有ベクトルといいます。
λとは
λはスカラーになります。つまりどういうことかというと行列などではなく普通の数字ということです。
また、上の式が成り立つλを固有値といいます。
わかること
この式のことをまとめると、
- 固有ベクトルと行列を掛算したものは、方向が固有ベクトルと同じベクトルになる。
- 行列をかけると、固有ベクトルは固有値倍、λ倍になる。
この二つのことがわかります。実際に考えてみましょう。
実際の値で考えてみる。
Aがこのような値だったと考えると、固有値と固有ベクトルは、
となります。今回は、固有値と固有ベクトルの順番が一致しています。
計算に関しては省かせていただきますが、もし導出がわからない場合、
こちらのサイトを参考にしてみてください。これを先ほどの式、
この式に代入してみましょう。一番前にある固有値と固有ベクトルを代入すると、
となり、確かに元の固有ベクトルの固有値倍(λ=1倍)になっていることがわかります。
固有値、固有ベクトルの使い方
これを利用してAnで線形変換をしてみましょう。つまりどういうことかというと、
例えば、
としましょう。このBを線形変換すると考えると、
このようになる、X、Y、Zを求めるということです。
Bを先ほどの固有ベクトルで分解できると考えると、
このように変換できます(a,b,cは実数)。なぜこのように変換するかと考えると、固有ベクトルというのは行列Aを掛算してもスカラー倍にしかならないからです。
今回のAをn回掛算しなくてはいけないので、このスカラー倍にしかならない固有ベクトルをうまく活用しようと考えています。
これに対して、a,b,cを求めると、
となります。これは連立方程式を解くことで求めることができます。したがって、Bは固有ベクトルによって、
このように表すことができます。それではAnで線形変換してみましょう。固有ベクトルにAを掛算しても固有値倍、λ倍にしかならないことを説明しました。つまり、
Aをn回かけると固有ベクトルの大きさは、λn倍となります。
つまり、
このように変換することができるんですね。すごくないですか?
これが固有値と固有ベクトルを求めることによってできる変換になります。n→∞としたりすると、
このように表せてしまいますよね。このように変換を簡単にするのが固有ベクトルと固有値になります。
最後に
今回は固有値と固有ベクトルの利用方法、なぜこのようなものを求めるのかというのを説明してみました。また、やっていることとしては対角化と同じことをしています。
対角化のイメージがわかない人はこのようなことをやっているということを理解しておいてほしいと思います。
それではまた、ぽたでした。