こんにちは、ぽたです。今回は常微分方程式について解き方が色々あるので、どのようなタイミングで使うのか、どういう風に考えたらいいのか、というのをまとめてみたいと思います。
常微分方程式とは
未知の関数f(x)とその微分形が同じ式に入っている方程式です。大学では基本的に2階微分までが入った方程式が大多数なので、そちらについて話していきたいと思います。
常微分方程式の考え方[とりあえずここを見て]
常微分方程式の考える順番をとりあえず書きたいと思います。僕はこのように考えているという形なのでこれが正解というわけではないですが参考にしてください。また、これはどのやり方で解け、みたいに与えられていない場合にこういう風に考えてますよ、ということです。
①まずは与えられた式が二回微分が入っている式か1回微分しか入っていない式か判別する。
②1回微分しか入っていない式の場合、
(1)変数分離ができないかどうかを一番最初に考える。
(2)変数分離が出来なかった場合、x/yなどをuなどと置き換えて考えられないか考える。
(3)できなかった場合、完全微分方程式で解く。
③二回微分が入っていた場合、
(1)まずは右辺=0と考えた同次方程式を解いて一般解を出したいので、
(ア)解が一つわかっている場合、階数低減法で解く。
(イ)わかっていない場合、特性方程式から一般解を出す。
(2)非同次方程式を解いて特殊解を出す。
(ア)右側の係数が決まった形だと、未定係数法を使って特殊解を出す。
(イ)係数が決まっていない形だと、定数変化法を利用する。
(3)一般解と特殊解を足し合わせて答えを出す。
(4)初期値等が決まっている場合は代入して定数の値を出す。
このような流れで考えれば98%ぐらい解くことができると思います!それでは一つずつ順番に考えていきましょう!
①二回微分か一回微分かを判別する。
まずは、一回微分か二回微分かを判別します。これは簡単ですね。下のような式があったとします。
これは一回微分しかないからもちろん一回微分です。上での②に進んでください。
これはどうでしょう。二回微分が入っていますよね。③に進みます。
②一回微分のみの場合
(1)変数分離ができないかどうか考える。
まずは変数分離ができないかどうか考えます。
例えばこの式、このように変形できます。
こういう風に変形できる場合は、変数分離により解くことができます。これは右辺を部分分数分解で分解して両辺積分するだけで解くことができます。
部分分数分解して、両辺積分すると、
こうなります。計算は自分でやってみてくださいね。
もしできなかった場合は次に行きます。
(2)x/yなどをuなどと置き換えて考えられないか考える
もし、変数分離が出来なかった場合は置き換えて解けないかを考えます。例えば、
このような式は変数分離をすることができません。僕の体感は項の数が三つ以上になるとできなくなることが多いです。このような場合は置き換えて考えます。今回の場合は一旦x2で割ってみましょう。すると、
ここでy/x=uと置くと、
これらを代入して、式をきれいにすると、
このような形になります。これは変数分離が使えますので、それを行って終わりです。計算は端折ります。(1)を参照してください。
代入して解くものも大体最終的には変数分離で解くことになるかと思います。また、代入の時は今回と大体同じような形になるかと思います。問題を解いていてほとんどこの置き方でした。
ほかにも例として、y-x=uと置いたりするパターンもありました。
それでは次にこれですらうまくいかなかった場合を説明します。基本的に代入、置き換えでうまくいかない場合というのは、どんな変数、xやy、で割ってもいい感じに置き換えできそうな形が出てこない場合です。
例としてexp(x)などがついていた場合は、次の完全微分方程式,もしくは2回微分方程式の1回だけのような形で解くようにしてください。(1回だけ利用のものは例外に記述)
(3)完全微分方程式で解く
最後のかなめの完全微分方程式です。それでは解き方を説明していきます、といいたいところなのですが、凄くきれいにまとまっているサイトがあったのでこちらを参考にしてみてください!(書くと長くなりすぎるのでまた別の記事で書くと思います。)
ぜひここから解いてみてください。
一回微分の場合というのは今までやってきたことでほぼほぼ解けると思います。
それでは二回微分が出てきた場合について説明していきたいと思います。
例外
先ほど少し述べた、2回微分のように1回微分を解く、というお話です。この話は先に下を読み進めて、二回微分方程式の解き方を学んだ方でないと難しいので、もしわからないよという方は下まで読んでから戻ってきてください。
例えば、
この方程式があったとします。先ほど述べたようにexpが入っていますね。これの定常解を求めると、
となります。また、特殊解を求めます。特殊解を
と置くと、代入して、
と特殊解が求まりました。したがって、解は、のちにも述べますが定常解+特殊解なので、
となります。置き換えや完全微分方程式で解けない場合というのはこのように解くことがあります。注意してください。
③二回微分がある場合
二回微分がある場合は、またやり方が変わってきます。基本的には、一般解と特殊解があります。一般解と特殊解は、一回微分でも存在するのですが、その考え方を用いて解きやすいのが二回微分の場合です。
一般解は、任意定数を含む、微分方程式の解のことをいい、一般解における任意定数が特定の値をとったものを特殊解といいます。この二つの解は別々に求める必要があります。場合分けをして、片方ずつ求めていきましょう!
最後に一般解と特殊解を足し算して解を求めましょう。
(1)一般解を求める
先に一般解を求めます。基本的に一般解は下の二つのパターンしかないです。やっていきましょう。
(ア)解yが一つわかっている場合
解が一つわかっている場合は基本的に階数低減法を利用します。
階数低減法というのは、解がy1として求まっていた場合、もう一つの解、y2をy2=u×y1と置くことによって解を求める方法です。それでは実際にやってみます
この式の一般解について求めていきます。この式は係数に普段と違ってxなどが入っていますね。このような問題は特性方程式では解くことができないので基本的に一つ、解が与えられています。
よって今回は、
と置いて問題を解いていきます。
それぞれを最初の式に代入します。すると、
ここで式変形をし、積分すると、
またこれを式変形して積分すると、
y2=uxだったことをおもいだして、
このように解が決まります。したがって今回の解は、y1とy2が基底状態であることを考え、足し算すると、
と、一般解が求まります。
次は普通に解がわかっていない場合の求め方です。
(イ)わかっていない場合
解が二つともわかっていない場合、式から特性方程式を作成し、それを利用して解を求めます。
このような常微分の式があったとします。これを特性方程式としてみようとすると、
この変換を行うことになります。行うと、
このような式の形になると思います。この変換ができる理由として、
これを最初の式に代入すると、同じような形が出てくるのがわかると思います。
これの解、λを求めます。これは二次方程式を解くだけなので簡単に求められると思います。求めた解によって一般解が変わってきます。3パターンに分けられます。
①λが2つの異なる実根となるとき
その解をλ1、λ2とすると、一般解は、
②λが重根の場合(重解λ)
③λが虚数解の場合(共役複素根)
この中からあてはまるものを選んで完成です。C1やC2などに関しては最後に条件等を用いて求めます。
(2)非同次方程式を解いて特殊解を出す。
(ア)右側の係数が決まった形だと、未定係数法を使って特殊解を出す。
未定係数法は、右辺(xの関数)が決まった形だと使えるものです。下の表を参考にしてどのように計算をしていくかをお話しします。
(追記:R(x)の項がもし実数、xの関数でなかった場合はそのままそれをypとして扱う)
R(x)、右辺がもともとの形を表していて、ypがそれの解を選択しています。実際にやってみましょう。
という式があったとします。この式の右辺は上の表のR(x)と照らし合わせると、3行目に当てはまっていることがわかります。したがって、ある特殊解を
と置いて考えます。
このように考えると、
こうなりますね。これを一番最初の状微分方程式に代入すると、
となります。一度計算はしてみてください。この方程式を解くと、
となります。これを一番最初の式に代入してあげると特殊解は、
と、求めることが出来ました。ほかのR(x)でも同様のやり方を行って係数比較をしてください!
例外1[修正の規則]
一番最後に修正の規則というものについてお話していきたいと思います。右辺が決まった形だと今までやってきた未定係数法で解くことができるのですが、ある例外の場合だけこのままやっても解けないということが起きてしまいます。なのでその時に修正の規則というものを適用します。
修正の規則は、
同次方程式での一般解が重解、もしくは単根で、かつ右辺がkeλxで(kは定数)、λが一般解の重解、もしくは単根と同じになっている場合に使います。
単根の場合は ypにx をかけたものを利用して未定係数法を行ってください。
重解の場合は右辺のypにx2をかけたものを利用して未定係数法を行います。例えば、
を解くとします。この時、λ=2で一般解は、
ですよね。ただし今回はR(x)の項が一般解の基底、e2xとかぶっているので、未定係数法のypは、
として考えます。あとは微分して代入して、計数Cを求めるだけなんで計算は練習と思って頑張ってみてください!
また、単根の場合も同じです。もしかぶっていた場合は修正の規則を利用して同じように解いてください。
例外2[和の規則]
もしR(x)の項が複数あった場合は、一つ一つの項に同じことをやりましょう。同時に行うのは厳禁です。少し大変ですが、一個一個地道に解いてください。これは下の定数変化法にも当てはまるので気を付けてください。
もし、片方が未定係数法でできて、もう片方が定数変化法を利用する場合、最終的な特殊解というのは、
特殊解=未定係数法の解+定数変化法の解
になります。
(イ)係数が決まっていない形だと、定数変化法を利用する。
定数変化法は(ア)で行った未定係数法の表にない形のR(x)が出てきた場合に利用します。このやり方は複雑そうに見えて簡単なので、あきらめず頑張ってください。
まず、前提条件として一般解の基底が2つわかっていないと解けません。基底というのは、xが関係している項一つ一つの係数を1として考えたものです。例えば、先ほどやった一般解として、
これの基底を考えます。基底をy1、y2とすると、
になります。係数を1として考えているので、C1,C2は1として今回は考えています。これを利用します。
定数変化法は、式だけで書くと、
これを解くだけです。それではやってみましょう。
何故これを解くだけでいいのかというのを理解したい方は、
こちらを参考にしてみてください。
一つだけ気を付けなくてはいけないのが、R(x)は、yの二回微分の係数が1のときのものです。
この方程式を解いていきましょう。まずは一般解を求めるために特性方程式を解いていきます。解き方はこの記事の特性方程式の部分を参考にしていただければいいですが、今回はλ=2の重解となりますので、一般解は、
これの基底を考えると、基底は、
となります。係数を1にしたものですね。これを微分してからWの式に代入します。
これを定数変化法の式に代入すると、
これで特殊解が求まりました!一般解がわかっている場合は使える解き方になっています。
このやり方は未定係数法にない形で基本的に使います。使いどころを間違えないようにしましょう。
特殊解の求め方は基本的にこの定数変化法と未定係数法なのでしっかり理解しておきましょう!
(3)一般解と特殊解を足し合わせて答えを出す。
最後に一般解と特殊解を足すことによって最終的な答えを出します。上の定数変化法の問題をひっぱってきます。
この方程式の一般解は、
特殊解は、
したがって最終的な解は、
となります!これにて解は求め終わりました!
(4)初期値等を代入して定数を出す
最後にC1などの定数を求める場合です。このような場合は初期値などが決まっています。それに従って解いていきましょう。基本的に初期値を最後に求めた解に代入することによって求めます。
ここはほんとに代入するだけなので割愛しますね!例としてy(0)=0,y’=0とかが与えられることがよくあります。先にyを微分してから代入してあげてください。
最後に
皆様、お疲れさまでした。これで98パーセントの問題は解けると思います。今回は常微分方程式の解き方についてまとめてみました!ぜひ参考にしていただけると幸いです。
それではまた。ぽたでした。他の記事も見てみてください!
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